帰る場所
知れば知るほどTravis Japanって素敵なグループだな、と思う。ほんとうに今更な話だけど。
私が落っこちたのはLove-tuneの現場で、それをなくしてはTravis Japanの阿部顕嵐を知ることもできなかったと思うと、非常に無慈悲。
もちろんどちらの顕嵐くんもかっこいいことに変わりはない。けど、顕嵐くんの気持ちが気になるところ。
私は中高一貫校に中学のときから通っていて、引退するまでまるまる5年間オーケストラの部活に入っていた。
中学1年で楽器を決めるとき、希望用紙が事前に配られたので、第一希望にチェロ、第二希望にパーカッションと書いた。リズムの重鎮に憧れていた。(コンバスは向いてないと言われた)
委員会があったので楽器決めの話し合いには途中から参加した。さあ私も話し合いに入れてくれ、とチェロ希望者の輪に入ったら、「あなたはもう決まってるよ」と言われた。
そこに先生が駆けつけてきて、「第二希望になっちゃうんだけど、どうしてもパーカッションはやってほしい。その代りチェロも掛け持ちしていいから」と言う。
第三希望までにパーカッションと書いたのが私しかいなかったらしい。
はあそうですか、と難なく受け入れた。そういうのもアリなんだな、と思ったから。
いざ先輩たちの前で自己紹介をするというとき、私が担当楽器をいうとざわめいた。すごいね、できるのかな、と囁く声が聞こえる。どっちも未経験ですというとみんな不安そうな顔をするので、すごく怖かったのを覚えてる。
いろんなことを言われた。「ドラムやってた○○さんが掛け持ちしたらよかったんじゃない?」とか、「経験者じゃないのによく2つもできるね」とか。
パーカッションの先輩に「この曲は必要ないからチェロにいって」と言われチェロにいくと「もう人数申請しちゃったからパーカスに戻って」と言われたりしたこともあった。
どっちにも必要にされてて羨ましいという同級生がいたけど、実際はどっちからも必要とされてなくて、結局中3になって後輩が入ってきたのを機にチェロ1本になった。
チェロひとつになってからも先輩には嫌われたままだったのがつらかったけど、楽器をするという楽しさは一変した。チェロひとつに絞ってからはほんとうに楽しかった。
こんなことがあったので、顕嵐くんは必要とされているんだろうかと勝手に心配になる。傍から見ればどちらからも必要とされているようにしか見えないけれど、本人の実感としてはどうなんだろう。
どっちつかずで、心地としてはどちらにも必要とされていないなと感じていたら、きっとすごく辛いんだろうなーなんて思う。私がそうだったから。
帰る場所は2つ以上あると不安になるから、たった1つでいい。1つがきっといい。
今までもユニットの流動があったとはいえ、常に顕嵐くんの"帰る"場所は1つで、確かだったはず。
それが不確かになってしまった、そして、それを手放すことになるかもしれない今。
どんな気持ちでいるんだろう?と。…想像すると、たまらなくなる。