八月に咲く

阿部顕嵐くん

「若者のすべて」

(たぶん)初めてアイドル誌を買った。POTATOの8月号。も少し悩むつもりだったけど、近所の本屋にたった1冊残されていたそれの中に顕嵐くんを確認して、足早に買ってしまった。

 

こんがり焼ける肌に憧れていた私にとって顕嵐くんの色白+活発な女の子好き発言には救われた!(ただし本気で活発なので1日遊ぶと肌は真っ赤)

 

それよりなにより、一番痺れたのがこれ。

 

顕嵐「フジファブリックの『若者のすべて』とかグッとくるな。」 

 

こういうなんでもないような一言って、こんなにも同じ時代の同じ世界に生きてるんだって実感させてくれたりするものなのか。

メンバーにはスルーされていたけど、ちょっぴり涙ぐむくらいに痺れた。

 

 

ここからは私の思い出備忘録になる。

 

確か、私がこの歌と出会ったのは中学2年生の夏前ぐらいだったと思う。初めてお付き合いした方がフジファブリックのファンで、彼のうちに遊びに行く度よく聴かされたけど、いまいち好きになれなかった。

 

若者のすべて」は彼のお気に入りの1曲のうちのひとつだった。あんまり印象に残らない歌だねなんて言うと、お前はまだお子様だからと馬鹿にされた。地元の友達のお兄さんで、3つ年上の、当時高校生だった彼はすごく大人に見えた。高校生になった今思い返すと、そうでもないんだけど。

 

自分の恋愛を語るのは今も苦手。友達にも、最後まで秘密にしていた恋だった。(あまり仲良くない友達にデート先で遭遇してバレたことはあったけど。)

最初は彼のことはちっとも好きじゃなかった。告白されてなんとなく付き合うと、瞬く間に好きになった。結構自分はチョロいんだなあと少し悔しくなったけど、悪い気はしなかった。

 

3回訪れた夏のうち2回は二人で海にいった。くだらないことをして過ごす時間と、くだらないことをして楽しそうな彼が大好きだった。

念入りに塗ったはずの日焼け止めむなしく、夜には顔や背中を真っ赤にして帰った。

 

2年とちょっとお付き合いして、彼が浪人生になった年、私はフられた。

勉強に集中したい、待たせたくないと言われたけど、私のほうはいくらでも待てたはずだし、そんなのどうせ別れるための後付けに違いないって分かりきっていたのに、ちっとも抗わずに、「わかった」と。ただそれだけで私たちはそれっきりになった。すごく後悔した、初めての恋愛だった。

 

 

そこから今まで「若者のすべて」は聴きもしなかったし、曲名の字面だって見たこともなかった。ずっと無意識に、心の奥の、奥のほうへしまいこんでいたんだと思う。

 

まさか、つい先月好きになったアイドルがそっと引っこ抜いてくれるとは思わなかった。

 

ありがとう!と心から言いたい。くそ、嫌な思い出引っ張り出しやがってとは思わなかった。

あっけなくフられたし、しっかり向き合わなかったことには後悔してるけど、それでもまったく、嫌な思い出じゃなかった。

それなのにどこかプライドにつけてずっとしまいこんでた。忘れなくたっていい、忘れない方がきっといい思い出を、顕嵐くんが、ほんの一瞬で私の目の前に差し出してきてくれた。

 

これは奇跡かな。それとも、男の子はたいがい「若者のすべて」が好きなんだろうか。とすると、次に出会う男の子も好きなんだろうか。なんだか、そうだといいなって思う。

 

 「若者のすべて」久々に聴いたらほんとにグッときた。今年の夏はきっとやみつきになる。